誰かの言葉で救われる。もっと「うちあけ」る機会を。松尾 圭輔

担任の先生の、あの一言に救われた。
中学時代の経験がカウンセリングの原点に。

今なぜ、カウンセラーをしているのかと振り返ってみると、
いじめを受けて、死ぬことばかりを考えていた14歳のときに
担任の先生が救ってくださったという原体験が影響していると感じます。

ある日職員室に呼ばれたのですが、何を言われるのかまったくわかりませんでした。
するといきなり先生が「圭輔が今思っていることを全部はきだしなさい」と言い出したのです。
その言葉を聞いただけで、1時間くらい号泣してしまいました。
誰も信頼できる人はいないと思っていたのに、ちゃんと自分を見てくれていた人がいた、
それだけで嬉しかったんだと思います。
その一言が苦しかったいじめを、全部流してくれた。それくらい衝撃的でした。

そして高校3年生のときに、英語の先生から「将来は何になるんだ?」と聞かれました。
そのときはまだ決まっていなかったのですが、
いじめを受けた経験があるから、悩みの相談にのってあげるようなことをしたいと伝えると、
スクールカウンセラーという仕事があると教えてくれました。
アメリカでは、1クラスに5〜6人のスクールカウンセラーがいることも。

心理学が専門的に学べる大学をめざしましたがうまく行かず、福岡大学経済学部に進学しました。
心理学と名前がついている授業はすべて履修したけれど、深いところまでは学べませんでした。
そして敬愛カウンセラー学院の一日体験講座を受けたのが20歳のとき。
それが本格的なカウンセリングとの出会いでした。

生きづらい世の中だからこそ、
気軽にカウンセリング体験ができる場を。

2013年の春より、プロのカウンセラーとして活動をはじめてから、
より多くの人に気軽にカウンセリングを体験していただける場所を提供したいと思い、
毎回テーマを決めて、カウンセリングが体感出来るワークショップ『★うちあけカフェ☆』を
主催しています。
この名前には、自分の心の内側を開ける「内開ける」と、
今まで言えなかったことを誰かに「打ち明ける」の2つの意味を含んでいます。

ワークショップ第一回のテーマは、「私はこの言葉に救われた」でした。
自分がどんな言葉にすくわれたかを振り返っていただく「うちあけシート」に記入してもらい、
その後グループに分かれ、初めて会った方同士で話し合い、
さらになぜこの言葉に救われたかをカウンセリング視点で話し合いました。
話したくない人は、話さなくていい。話を聴いてくれるだけでもいいんです。
自分の向き合いたくないことと向き合って、それを話して受け入れられた安心感というか、
ホッとした感じがワークショップの中で広がっていく感じでしょうか。

他にも、 「不登校」をテーマにしたり、糸島では子育てママさんを対象に実施しました。
最近では、性同一性障害を乗り越えたカウンセラーの方とコラボして、開催しました。
2014年は、北九州、鹿児島、沖縄等で『★うちあけカフェ☆』を開催する予定です。
ピラティスとのコラボ企画も持ち上がっています。
参加者は、女性、男性、若い方も多いと思います。6月から始めて、半年で約100人。
やってみて、こんなに反響があるとは思わなかったので驚いています。

誰もが、何かしら心に抱えています。自分の中で我慢したり、
内側に閉じ込めたりするのではなく、誰かに「うちあけ」る、
それだけで救われる事もあるかもしれません。
そういう場がないことも、今の世の中の生きづらさにつながっているのではないでしょうか。
小さいものから大きいものまで、軽いものから深いものまで、
どんな「うちあけ」でもいいんです。
それが混ざり合うことによる化学反応で、お互いに気づいたりいろんな発見がある、
それがワークショップの面白いところです。

身近なところで意外性をどんどん発信して、
カウンセリングのイメージを変えていきたい。

カウンセリングを学んでから、自身の人間関係ががらっと変わりました。
もともと人づきあいは得意な方ではありませんが、
カウンセリングを勉強してから人とつきあうことにストレスを感じなくなったんです。
誰にでも苦手なタイプの人がいると思いますが、私の場合はとくに威圧的な人が苦手で、
見た目がそういう感じだと、話しかけるのさえ苦痛でした。
それが今ではどんな人が来ても、誰とでも話せるし、心がオープンになっている感じです。
カウンセリングに関わると、相手や自分が何か変わったなって瞬間に出会えるはずです。
それを少しでも多くの人に知ってほしいなと思います。

ワークショップの雰囲気にこだわるのも、
もっとカウンセリングを身近に感じてほしいからです。
カウンセリングは意外と気軽なんだとか、
こんな人がカウンセラーなんて意外だとか、こんな意外なところでやっているなど。
意外性がイメージを変えていくキーワードになるんじゃないかと思います。
カウンセリングのネガティブなイメージを、ポジティブに変えていきたい。
『★うちあけカフェ☆』の両端の★(くろぼし=ネガティブ)と☆(しろぼし=ポジティブ)には、
実はそんな想いを込めています。

私がこの仕事をするきっかけとなったのは、中学時代の先生がくださった
大きな意味のある一言でした。人生を変えた一言だとも言えます。
いずれは学校でもカウンセラーとして、先生に恩返しをしたいと思っています。
それとは別に、2020年の東京オリンピックでメンタルトレーナーとして
日本代表チームを支えたいと思います。これが今の目標です(笑)。

最後に、こんなことも聞きました!

〈カウンセラーの資質として大切だと思うことは?〉
何かに苦しんで、それを乗り越えた経験があったほうが、
より相談者の心に寄り添えると思います。相談者にかける言葉も違ってきます。
同じ経験でなくても苦しんだ思いは、カウンセラーになったときのパワーや
原動力になります。
〈自分自身のメンタルケアのためにしていることは?〉
つねに自分の心を温かい状態にしておくことで、余分なストレスを
受けなくなりました。そのためにも、自分をほめる、自分を許すように心がけています。
イヤなことがあっても、物事の本質と向き合い、ポジティブに
変換するようにしています。
〈話を聴くプロに会ってみたい方へ、ひとこと!〉
カウンセリングって会話なんです。すごく話を聴くことが上手な人に話をする
くらいの気持ちで受けてみてください。話をした後は、気持ちが軽~くなりますよ!
〈話を聴くプロをめざす方へ、ひとこと!〉
これから活動の場が無限に広がっていく仕事だと感じています。
なぜ聴くプロになりたいのか、きっちり目標を定めたら前に進んでください。
仲間が増えるのは大歓迎です。何か一緒に活動できればいいなと思います。

松尾 圭輔

ワークショップ「★うちあけカフェ☆」主催
プロフェッショナル心理カウンセラー 一般

大学卒業後、就職。ハードワークが重なり、体調を崩したことから会社を辞め、
アルバイトをしながらカウンセラー養成講座に通う。
2013年4月にプロフェッショナル心理カウンセラーの資格を取得。
現在、仕事をしながら、地元・九州を中心に気軽にカウンセリングを
体感できるワークショップ「★うちあけカフェ☆」を開催。
個別にカフェなどでカウンセリングも行っている。