自分にしかできないことをやってみたい。
無力感から生まれたカウンセラーへの熱意。
主人と出会い、結婚をして、派遣などで働きながら主婦をしていたときでした。
このままの人生を続けていていいのだろうかと悩み、
何か手に職をつけたいと思いはじめたのです。
これから自分がどう生きていくかを、何か人の役に立つことがしたいと
自分と向き合い真剣に考えたときに、過去にがんばりすぎて
私自身がメンタル不全になったことや、友人が自殺未遂をしたり、
大切な人を失ったりしたことで、自分の中に無力感が残っていることに気がつきました。
そんなときでした、カウンセラーという存在の人がいると知ったのは。
心理カウンセラーだったら、誰かの役に立てるのではないだろうか、
自分にしかできないことができるのではないかと思い、
プロのカウンセラーの養成講座に通いました。
それまで心理学を勉強したことがなかったので、勉強するたびに
新しい発見がありました。なかでも自然の中で行うセラピーに参加したとき、
自分の弱さから背を向けることなく向き合うことができたんです。
そして、「私はこういう仕事がしたいんだ」と確信しました。
そこからは一直線に進めました。未熟でもいいからプロとして全力で、
100%でやっていかなきゃいけないと思って、知識と経験を積み重ねてきました。
これも私自身のやりたいことを、生き方を尊重してくれる
主人がそばにいてくれるからこそ、カウンセラーになるためのチャレンジができたし、
東京でも大阪でも仕事ができる、今の私がいるのだと感謝しています。
医療や教育など、その道のプロと連携し、
カウンセリングの質を上げる。
カウンセラーとして最初に取り組んだのが、不妊治療のカウンセリングでした。
医療クリニックの看護師さんがカウンセリングを勉強しに来られていたのですが、
トレーニングまで十分する時間がとれないことから、
プロとして活動できるカウンセラーとチームを組んでやっていきたいという要請があり、
自ら「やります!」と手を挙げて参加しました。
不妊治療は先の見えない治療です。原因がわからないことも多く、
子どもが授かれるとは限らない。長年つらい治療を続けても、子どもを授からないことも。
経済的にも身体的にも限界に達して、病院を去っていくご夫婦も多く見られます。
子どもができなかったという喪失感を持って去るのではなく、
これからの新しい人生を考えて病院を旅立ってほしい。
そんな想いで、ドクターと看護師、そしてカウンセラーがひとつのチームとなり、
治療や薬、そして心理の知識や情報を共有することで、より専門的なサポートをしていました。
このように医療に関わるもの、教育に関わるもの、家族に関わるもの、夫婦に関わるもの、
カウンセリングにも様々な分野がありますが、私はあえて得意分野を決めていません。
必要なことや足りないところがあれば、そこから勉強して専門性を身につけることを前提に、
求められたことをすべて提供したいと考えています。
カウンセラーがカウンセリングする分野の経験をしていなければいけないかというと、
必ずしもそうではないと思うんです。その方にとっての本質的な痛みや苦しみ、
その方にとっての生き方、ここの2つをつかむことで大きく前進することができます。
また自分が経験していなくても、その道のプロと連携することで、
カウンセリングの質を上げていくことができると、自身の経験からも感じています。
カウンセラーとメンタルトレーナー、
そしてカウンセラー育成者として。
日本に「心の文化」を定着させたい。
人はだれでも落ち込むことがあれば、希望に満ちてがんばれるときもあります。
カウンセラーは心がダメージを受けて回復や癒しが必要なときに手助けする仕事。
メンタルトレーナーは目標に向かって進むときにサポートする役割を担っています。
私はカウンセラーであり、メンタルトレーナーでありたいと思っています。
私たちが扱っているのは人の価値観だったり、感情だったり、生き方だったり。
人の心は一本につながっています。その人の心が今どの位置にあるのか、
カウンセラーとメンタルトレーナーの両方やっているとわかりやすいですね。
また、カウンセリングで回復し、夢があって頑張りたいという方に
メンタルトレーナーを紹介したり、メンタルトレーニングをしていて
ダメージの回復が必要だったらカウンセラーを紹介する必要もありません。
以前メンタルトレーニングをしていたスポーツ選手がスランプに陥り、
心のダメージの回復が必要になったことがあります。そんな場合も、箱庭を取り出して
感情を整理することでひどくなる前に回復することができます。
そういう適切なケアを適切なタイミングでできることも、
カウンセラーとメンタルトレーナーの両方をやっている良さだと思います。
今はカウンセラー、メンタルトレーナーの仕事をしながら、
さらに日本に心の文化を定着させたいと思い、カウンセラー育成の仕事もしています。
1日24時間、6時間寝たとして、一人のカウンセラーが相手できるのは9人くらいです。
もっと多くの人がカウンセリングを提供できるようになれば、
カウンセリング受けたいという人がカウンセリングを受けられるようになります。
他にも心理テストをつくってテレビ番組や教育機関への提供も行うなど、
様々な活動を通じて、もっと身近な存在として私たちがいるんだよということを、
多くの人に伝えていくことができれば嬉しいです。
最後に、こんなことも聞きました!
- 〈カウンセラーの資質として大切だと思うことは?〉
- 自分と向き合うことから逃げないことです。
きちんと現実を受け止めて、セルフマネジメントやセルフプロテクトに取り組めること。
- 〈自分自身のメンタルケアのためにしていることは?〉
- 自然の中へ行ったり、山に登ったり、日常と切り離す環境に自分を置くことです。
時間がない場合はジムで運動し、頭でではなく身体からアプローチします。
また自分で箱庭をつくって、分析して、癒すことも。
自分がクライアントに提供するセラピーはすべて自分にも使います。
- 〈話を聴くプロに会ってみたい方へ、ひとこと!〉
- あなたらしさを一緒に探しませんか。
- 〈話を聴くプロをめざす方へ、ひとこと!〉
- あなたが生きてきた人生そのものが、カウンセラーとしてのキャリアにつながります。
痛い経験も苦しい経験も、学ぶことで勲章になったり強みになったりします。
尾下 恵
アイディアヒューマンサポートサービス
東西事業部統括責任者/講師
プロフェッショナル心理カウンセラー 上級/医療・福祉カウンセラー
メンタルトレーナー/リラクセーショントレーナー
短期大学在学中にイギリス・アメリカへと留学。
卒業後、就職、結婚。ライフワークとして人を笑顔にするカウンセラーを志す。
プロカウンセラー養成講座を修了、2005年2月から不妊治療を中心とした
病院にて医療・福祉カウンセラーとして活動開始。
同7月よりアイディアカウンセリングセンターのスタッフに。
現在はカウンセリングやメンタルトレーニングを行うとともに、
講師としてカウンセラーの育成に携わる。